親会社の採用

2012.01.14

彼はまず、人事課長の求人を出している機械メーカーのB社に応募することにした。このB社は、従業員数二百名の中堅企業だが、業界最先端の技術を有しており、これからの成長ぶりが期待される企業だ。超大手企業A社の関連会社であることも、いろいろな意味で魅力的だった。ところが、このB社の面接で、Oさんは散々な目にあった。実はB社の人事担当者はちょっとクセのある人物で、「微に入り細を穿つ」というよりは「ねちねち」という言葉が似合いそうなほど、プライベート部分にまであれこれ突っ込んでくるのである。

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そして少しでもフィーリングが合わないと、「うちの社風に合いませんね」と一刀両断する。Oさんは、仕事とは関係のない質問を根掘り葉掘りされた挙げ句、ろくに自己アピールもできないまま、不採用を言い渡された。Oさんが我々のもとに相談に訪れたのは、そんなタイミングである。そして偶然ではあるが、同時期にB社の親会社である超大手企業A社から、人事課長の求人依頼が入ったばかりだった。Oさんの人事としての能力の高さを感じた我々は、早速A社にOさんを推薦してみることにした。「いや、素晴らしい人ですね。是非とも採用したいもんです」A社からOさんへの高い評価の声が届いたのは、一次面接の翌日のことである。話はトントン拍子に進み、無事に内定を取り付けることが出来た。Oさんにしてみれば、A社の子会社にあたるB社で門前払いに近い扱いを受けたので、まさかその親会社へ転職できるとは思っていなかったらしい。喜びもひとしおで、もちろんこの話を受けることにした。A社に転職して三ヵ月、Oさんは人事課長として採用業務を中心に活躍している。Oさんの仕事ぶりに目をつけた人事担当取締役は、ある日Oさんを呼び出し、関連会社まで含めた採用戦略を企画立案するように要望した。その関連会社には、当然、あのB社も含まれている。(B社の採用上の課題は、採用担当者そのものだな。リプレースを検討した方がいいかもしれない……)復讐するつもりは毛頭ないが、Oさんは冷静にそんなことを考えているらしい。




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