個人の自立にとって職業的自立が不可欠であれば、それは異なる職業への転職の自由といったものではなく、むしろ職業への拘束に基づくものである。その拘束によって職業を守る、職業を尊重するという意識と行動もまた生まれることを知るべきである。さらにいえば、職業を守ることは、職業に没頭することではない。職業に支えられた自己の生活を、職業以外の価値あるものへの貢献に振り向けることである。それは職業の「キャリアアップ」といった生き方とは無関係である。
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これに対して、転職の自由といった言辞が飛び交い、「キャリアアップ」といった言葉に群がり、転職のための資格の取得に熱中するというわれわれの現実は、職業を守る、職業を尊重するという意識自体がわれわれに欠如していることを物語っているのかもしれない。それほどまでにわれわれにおいて職業が魅力ないものと意識されているのなら、それこそが日本型雇用システムにとっての真実の危機である。あるいは職業に没頭するだけがわれわれの生き方なのかもしれない。